大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。
この記事でわかること
・8月31日の東京市場──1573円安から戻して、高値で引けた
・昨日の引け後に5社が出している──反応が出るのは今日
・【本日発表予定】伊藤園(2593)
・今後の決算発表予定──またぎ注意
8月31日の東京市場──1573円安から戻して、高値で引けた
31日の日経平均は93円63銭安の6万6311円93銭で小反落した。前日比だけ見れば0.14%の下げで、何も起きていない日に見える。実際に起きたことは違う。
| 時点 | 値 | 前日終値比 |
|---|---|---|
| 始値 | 6万5668円51銭 | ▲737円05銭 |
| 安値 | 6万4832円10銭 | ▲1573円46銭 |
| 高値 | 6万6311円93銭 | ▲93円63銭 |
| 終値 | 6万6311円93銭 | ▲93円63銭 |
寄り付きから737円安く始まり、そこからさらに売られて一時1573円安まで沈んでいる。そこで下げ止まり、終値は安値から1479円83銭戻した。高値と終値が同じ値だ。上ヒゲのないローソク足になっており、フィスコはこれを「陽の大引け坊主」と呼んで、6万5000円前後での買い需要を確認したと伝えている。
下げたのは2銘柄でほぼ説明がつく
日経平均を押し下げたのはアドバンテストとTDKで、この2銘柄だけで約398円の押し下げになっている。日経平均の下げ幅は93円63銭だから、この2社がなければ指数は上げていた計算だ。
構成銘柄の騰落数は値上がり131銘柄、値下がり91銘柄、変わらず3銘柄だった。下げた指数の中身は、上げた銘柄のほうが多い。
プライム平均株価は上げている
| 指標 | 8月31日 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 6万6311円93銭 | ▲0.14% |
| TOPIX | 4156.29 | +0.23% |
| プライム平均株価 | ― | +0.31% |
プライム市場では値上がりが882銘柄、値下がりが634銘柄で、上げた銘柄が全体の56.6%を占めた。日経平均だけを見て「下げた日」と受け取ると、相場の中身を取り違える。値がさの半導体2銘柄が指数を削っただけで、幅広い銘柄はむしろ買われた日だった。
昨日の引け後に5社が出している──反応が出るのは今日
31日に決算発表があったのは5社で、そのうち4社は15時30分以降の開示だった。取引が終わったあとに数字が出ているので、31日の値動きは決算を見ていない値段だ。市場がこれを評価するのは今日1日の取引になる。
| コード | 社名 | 種別 | 開示時刻 | 31日終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4666 | パーク24 | 3Q | 16:00 | 2007円 | +1.16% |
| 4369 | トリケミカル研究所 | 2Q | 15:30 | 3080円 | ▲1.75% |
| 3031 | ラクーンホールディングス | 1Q | 15:30 | 650円 | ▲0.76% |
| 436A | サイバーソリューションズ | 1Q | 15:30 | 1201円 | +0.08% |
| 3329 | 東和フードサービス | 1Q | 14:20 | 2125円 | ▲0.19% |
売買代金で見て今日の値動きが出やすいのは、パーク24の34億9000万円とトリケミカル研究所の27億2000万円の2社だ。残る3社は代金1億円前後で、値が飛びやすい反面、出来高そのものが細い。
パーク24(4666)──営業利益の進捗が68.1%
2026年10月期の3Qで、売上高3040億49百万円、営業利益289億46百万円だった。通期計画は売上4110億円、営業利益425億円である。
営業利益の進捗は68.1%だ。 3Qを終えた時点の目安は75%だから、単純な比較では計画に対してやや遅れている。売上の進捗は74.0%で、こちらは目安どおりに近い。売上は計画線に乗っているのに、利益の積み上がりが追いついていない形になる。
なお純利益は363億54百万円で、通期計画440億円に対して82.6%まで進んでいる。営業利益の進捗を大きく上回っており、営業段階以外の要因が乗っていると読めるが、その中身は短信本体で確かめる必要がある。今日の値動きを見るなら、営業利益の68.1%と純利益の82.6%のどちらに市場が反応するかが分かれ目になる。
トリケミカル研究所(4369)──ほぼ計画線の2Q
2027年1月期の2Qで、売上高147億05百万円、営業利益38億38百万円だった。通期計画は売上295億円、営業利益74億50百万円である。
営業利益の進捗は51.5%、売上は49.8%、純利益は51.3%だ。 2Qの目安は50%だから、3つとも計画線の上に乗っている。教科書どおりの折り返しといえる。
ここで注意したいのは、計画どおりであることが株価の上昇材料になるとはかぎらない点だ。株価が動くのは市場が織り込んでいた水準との差であって、会社計画との差ではない。この銘柄は31日に1.75%下げ、3営業日では3.45%下げてから決算発表を迎えている。下げてきたところに計画線の数字が出た形で、織り込みがどちらに寄っていたかで反応は変わる。
【本日発表予定】伊藤園(2593/食料品)4月期 1Q プライム
本日発表の3社のうち、プライム市場は伊藤園だけだ。残るダイサン(4750/サービス業)とピープル(7865/その他製品)はスタンダード市場で、いずれも売買代金1億円に届かない。
見どころ:前期に自動販売機事業の減損損失を計上し、純利益が75.5%減った会社の、立て直し1年目の1Qになる。減損は前期で終えているので、今期は損益がどこまで元に戻るかが焦点だ。
前期に何が起きたか:2026年4月期の実績は、売上高4978億77百万円(前期比5.3%増)、営業利益216億84百万円(5.6%減)、経常利益232億67百万円(1.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益34億66百万円(75.5%減)だった。
売上は増えて経常利益も増えているのに、純利益だけが4分の1になっている。 営業利益の減少額は12億85百万円にすぎない。対して純利益は141億56百万円から34億66百万円へ、106億90百万円減った。この差を作ったのが減損損失148億83百万円だ。
短信は理由をはっきり書いている。自動販売機事業について販売数量の減少にともなう収益性の低下が認められたことから減損損失を計上し、純利益が大幅な減益になった、としている。自販機事業は子会社のネオス(2026年5月1日付で伊藤園ネオスへ商号変更)に事業承継しており、構造改革の一環という位置づけだ。
今期の計画:2027年4月期は売上5000億円(0.4%増)、営業利益200億円(7.8%減)、経常利益205億円(11.9%減)、純利益114億30百万円(229.7%増)を見込んでいる。
純利益が3.3倍になる計画だが、これは減損の反動である。 営業利益はむしろ7.8%の減益計画だ。純利益の伸び率だけを見て好調と受け取ると、事業の実態を取り違える。本業の利益は今期も減る前提で会社は置いている。
1Qで見る数字:前1Q(2026年4月期1Q)の実績は売上高1308億75百万円、営業利益83億60百万円だった。この83億60百万円を今期の通期計画200億円に当てると41.8%になる。
今日の1Qで見るのは、営業利益が今期計画200億円に対してどこまで積めたかだ。 前1Qと同じ83億60百万円なら進捗41.8%で、通期計画に対しては貯金のあるペースになる。1Qは飲料の最需要期を含むので進捗が高く出やすく、40%台なら計画線、30%台なら夏場の伸びが鈍かったと読める。 売上のほうは前1Qが計画比26.2%だった。
スイング目線:31日終値は3031円で、前日比1.58%高、3営業日では0.36%高だ。日経平均が下げた日に上げており、値がさ半導体の下落とは別の動きをしている。出来高は44万2300株、売買代金13億3000万円で、20営業日平均の値幅は1.91%と大きくはない。値動きの荒い銘柄ではないぶん、決算で振れたときの幅は普段の水準を超えやすい。
計画EPS95.44円に対して計画PERは31.8倍、PBRは1.98倍になる。配当は前期48円から今期予想52円へ4円の増配計画で、予想配当利回りは1.72%だ。配当性向は前期が減損で178.6%まで跳ねたが、今期計画では54.5%に戻る。
Point:減損明けの決算は、純利益の伸び率が実態より大きく見える。 この会社の今期計画は純利益229.7%増でありながら営業利益は7.8%減だ。見るべきは本業の利益がどこに着地するかで、1Qの営業利益83億60百万円前後を基準に置いておくと、発表後に自分で答え合わせができる。なお1株当たり情報は普通株式に係るもので、この会社には第1種優先株式が別にある。
今後の決算発表予定──またぎ注意
今週の決算発表は本日3社のあと、2日に内田洋行(8057)の本決算、3日に不二電機工業(6654)の2Qと1社ずつ続く。
まとまるのは4日で11社だ。 プライム市場はカナモト(9678)、泉州電業(9824)、エイチームホールディングス(3662)、日本ハウスホールディングス(1873)、ロック・フィールド(2910)の5社が並ぶ。来週は7日に2社、8日に7社となる。
社数が少ない週は、持ち株の決算発表日をまたぐかどうかで悩む場面が少ない。 発表後の反応という事実を見てから動いても、スイングなら十分に間に合う。今週で見ておきたいのは4日の11社で、この日だけは前日までに持ち株の有無を確かめておきたい。
「プライム平均株価」について
プライム平均株価は、東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標だ。 時価総額や株価水準で重みをつけず、1銘柄を1票として数える。株価は分割調整後の値を使う。
日経平均は225銘柄を株価の高さで重みづけするため、値がさ株の動きが指数を大きく動かす。31日がまさにそれで、アドバンテストとTDKの2銘柄で約398円の押し下げになった。プライム平均株価は1銘柄1票なので、値がさ株に偏らない相場の中身が出る。この日は日経平均が0.14%安、プライム平均株価が0.31%高と方向が分かれた。
ただし、これは日経平均より優れた指標という意味ではない。売買される金額の実態は時価総額の大きい銘柄に偏るので、指数として日経平均やTOPIXを置き換えるものではない。2つを並べて、値がさ株が動かした日なのか、相場全体が動いた日なのかを見分けるために使う。
※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(株式会社伊藤園:2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結))および日本取引所グループのJ-Quants APIにもとづく。株価・出来高・売買代金・日中値幅はJ-Quants APIによる8月31日終値時点の値。日経平均の四本値は日経平均プロフィルの公開データ、31日の市況はフィスコの報道による。
※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。






