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生前贈与の加算が7年に 2027年から始まる「段階的な延長」の駆け込み贈与はまだ間に合う

相続の前に贈与した財産を相続税の計算に戻す期間が、2027年から1年ずつ延び、2031年には7年になる。対象は2024年以降の贈与で、いまから急いで贈与しても網から逃れられない。加算の仕組みと、加算されない3つの方法とは

複眼FPラボ2026/10/26

生前贈与の加算が7年に 2027年から始まる「段階的な延長」の駆け込み贈与はまだ間に合う
  • 加算期間は2027年から1年ずつ延び、2031年に7年となる
  • 2024年以降の暦年贈与は、いまから急いでも加算の対象に入る
  • 精算課税の110万円、孫への贈与、非課税制度は加算されない

この記事でわかること

加算期間は2027年から1年ずつ延びていく
2024年以降の贈与は駆け込みでも加算される
7年ルールを気にすべき家庭の目安
精算課税なら年110万円まで加算されない
孫への贈与と生命保険の落とし穴
住宅資金と夫婦間贈与の非課税制度
これからの贈与は「誰に・どの制度で」

「3年」が「7年」になるまで

親が亡くなる前に子へ贈与した財産は、一定の期間内のものに限って相続財産に足し戻し、相続税を計算する。生前贈与加算と呼ばれる仕組みで、この期間が長く3年だった。

2023年度の税制改正で、これが7年に延びた。対象は2024年1月1日以後に受けた贈与だ。とはいえ、ある日突然7年になるわけではない。

加算期間の起点は2024年1月1日に固定されているため、延長は2027年から始まり、1年ずつ長くなっていく。

相続が起きた年加算の対象になる贈与
2026年まで亡くなる前3年以内
2027年2024年1月1日以後(3年超〜4年未満)
2028年2024年1月1日以後(4年超〜5年未満)
2029年2024年1月1日以後(5年超〜6年未満)
2030年2024年1月1日以後(6年超〜7年未満)
2031年以降亡くなる前7年以内

延びた部分、つまり亡くなる前3年より前の贈与については、合計100万円までは加算しなくていい。

駆け込みはなぜ間に合わないのか

「延長される前に贈与しておこう」と考える人がいる。だが、表をよく見ると、2024年以後の贈与は2030年まで、亡くなった年にかかわらず加算の対象に入り続ける。今年2026年に贈与しても、親が2033年より前に亡くなれば加算される。

3年ルールのまま逃げ切れたのは、2023年末までの贈与だった。駆け込みの締め切りは、3年近く前に過ぎていたのだ。

実際にどれだけ戻るのか、試算してみた。父が2024年から毎年、子2人にそれぞれ110万円ずつ贈与し、2031年に亡くなった場合だ。1人あたり7年で770万円。亡くなる前3年の330万円はそのまま加算され、それより前の4年分440万円は100万円を差し引いた340万円が加算される。1人670万円、2人で1340万円が相続財産に戻る。

110万円の基礎控除の範囲内なので、贈与税は払っていない。それでも相続税の計算では、贈与しなかったのとほぼ同じ扱いになるというわけだ。

相続税の税率が20%の区分にあたる家庭なら、1340万円が戻ることで相続税は約268万円増える。3年ルールのままなら戻るのは2人で660万円だったので、加算期間の延長で、戻る額は2倍あまりに膨らんだ。

そもそも相続税がかかる家庭か

とはいえ、7年ルールを気にする必要があるのは、相続税がかかる家庭に限られる。相続税には基礎控除があり、3000万円に法定相続人1人あたり600万円を足した額までは税金がかからない。母と子2人が相続人なら4800万円だ。

加算された贈与も含めて遺産の合計がこの額に届かなければ、加算されても相続税はゼロのままだ。国税庁の統計では、亡くなった人のうち相続税がかかるのは1割前後だ。自宅の土地の評価を大きく下げる小規模宅地等の特例もあるため、まずは親の財産をおおまかに足し上げて、基礎控除を超えるかどうかを確かめるのが先になる。

基礎控除を大きく超える家庭ほど、暦年贈与が7年ルールで効かなくなった影響は大きい。対策の選び方が変わるのは、こうした家庭だ。

加算されない1つ目は「精算課税の110万円」

家系図の上に家族の人形が並び、そばに家の模型と電卓が置かれている

それでも、加算されない贈与はある。

1つ目は、相続時精算課税の年110万円の基礎控除だ。2024年から、精算課税にも暦年課税とは別に年110万円の基礎控除ができた。この110万円以下の部分は、相続のときに足し戻さなくていい。精算課税を選ぶと、同じ親からの贈与は暦年課税に戻せない。110万円を超えた部分は相続のときに加算されるが、毎年110万円以内で続けるなら、7年ルールの影響を受けない。

先ほどの試算に当てはめると、子2人が精算課税を選んで毎年110万円ずつ受け取った場合、7年分の1540万円はまるごと相続財産から外れる。暦年課税では1340万円が戻ってきたのだから、同じ額を贈与しても結果は正反対になる。高齢の親から贈与を受けるなら、精算課税を選ぶほうが有利な場面は増えたといえるだろう。

精算課税を選ぶには、最初に贈与を受けた年の翌年3月15日までに、税務署へ届出書を出す。110万円以下の贈与なら贈与税の申告はいらないが、届け出を忘れると暦年課税として扱われる。

2つ目は「相続しない人への贈与」

2つ目は、孫や子の配偶者など、相続や遺贈で財産を受け取らない人への贈与だ。生前贈与加算の対象は、相続や遺贈で財産を取得した人が受けた贈与に限られる。

注意したいのは、遺言で財産を受け取ったり、生命保険金の受取人になっていたりすると、孫でも加算の対象になる点だ。生命保険金は相続税の計算上、遺贈で取得したものとみなされる。孫への贈与で7年ルールを避けるつもりなら、保険の受取人まで確かめておく必要がある。

3つ目は「非課税制度」

3つ目は、贈与税の非課税制度を使った贈与だ。住宅取得等資金の贈与の非課税は、省エネなどの基準を満たす住宅で1000万円、それ以外で500万円まで贈与税がかからず、相続のときにも加算されない。期限は2026年12月31日までの贈与で、延長されるかどうかは12月の税制改正大綱で決まる。

婚姻期間が20年以上の夫婦なら、居住用の不動産やその購入資金を2000万円まで非課税で贈与できる配偶者控除もある。

「早く・長く」から「誰に・どの制度で」へ

暦年贈与の節税は、長く続けることで効果を積み上げる方法だった。加算期間が7年に延びたいま、高齢の親が始める暦年贈与は、相続税の計算上ほとんど意味を持たない場合がある。

これからは、いつ贈与するかよりも、誰にどの制度で渡すかが問われる。精算課税を選ぶか、孫を受け取り手にするか。親が元気なうちに家族で話しておく話題が、1つ増えた。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を示すものではありません。具体的な対策は税理士にご相談ください。

 

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マクロ経済の潮流から日々の暮らしに寄り添うお金の話まで――複眼的な視点で「生活」と「ファイナンス」を読み解く実践的チーム。メンバーは、生活者のリアルを綴るライター、現場感覚を持つファイナンシャルプランナー、そして個人に最も近い立場でライフリスクと向き合う生命保険・損害保険の営業パーソン。異なる立場と経験から、単なる数字や制度にとどまらない“生きた情報”を発信している。

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